災害時の個別避難計画について
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、それまでの想定をはるかに上回る巨大な津波が発生し、東北地方の沿岸部を中心に甚大な被害をもたらしました。被災に伴う死者全体のうち、65歳以上の高齢者の死者数は約6割で、障害者の死亡率は被災住民の死亡率の約2倍となっています。
こうした東日本大震災の教訓を踏まえ、平成25年6月、災害時に自ら避難することが困難となり得る高齢者や障害者など、特に配慮を要する方々への適切な避難支援策の見直しなどを柱とした災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)の改正が行われ、避難行動の際に支援を必要とされる方々の名簿作成が市町村に義務づけられるなど、その対策が強化されました。
その後の度重なる風水害において、高齢者を中心に災害時の避難に配慮を要する方が多く犠牲になられたことを受けて、令和3年5月に法改正がなされ、市町村に避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成が努力義務化されるなど対策が強化されています。
香美市においては、平成23年8月から災害時の避難に配慮を要する方への対応についての検討を開始し、対象者の把握などに取り組んで参りました。平成28年3月には、要配慮者及び避難行動要支援者を台帳管理するためのシステムを導入し、毎年、災害時避難行動要支援者名簿を自主防災組織や消防、警察関係者等に提供してきました。令和2年度からは、個別避難計画の作成を本格化させております。
避難行動要支援者名簿
次に示す災害時避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、法第49条の10にて各市町村において整備が義務付けられている名簿です。
この名簿は、法第49の11第2項にて消防、警察、民生委員や自主防災組織といった避難支援等関係者に対して事前に提供することとされており、香美市においては、提供について同意をいただけた方についてのみ名簿情報を提供しています。
対象者(避難行動要支援者)
香美市では、避難行動要支援者名簿に登録される避難行動要支援者とは、香美市内で在宅生活されている者のうち、次のいずれかの要件に該当する者と定義しています。
- 身体障害者手帳の部位「視覚」、「聴覚」、「上肢」、「下肢」、「体幹」、「運動機能障害上肢」、「運動機能障害下肢」、「総合等級」の等級が1級又は2級を交付されている者
- 療育手帳(障害程度A1・A2)を交付されている者で特に支援を必要とする者
- 精神障害者保健福祉手帳1級を交付されている者で特に支援を必要とする者
- 医療的ケアの必要な障害児・者
- 障害支援区分が4以上の障害者
- 要介護3以上で特に支援を必要とする者
- 特定疾病受給者証を交付されている者で特に支援を必要とする者
- 75歳以上の独居で特に支援を必要とする者(次のアからエに該当する者)
ア 精神障害者保健福祉手帳1、2級を交付されている者
イ 要介護度1・2の認定を受けている者
ウ 在宅酸素療法を受けている者
エ その他支援を要する者 - 上記以外で、市長が避難行動要支援者と判断した者
- 独居とは、同一家屋又は同一敷地内に実際に親類等が住んでいないことを指し、住民票上の世帯にとらわれません。
- 介護保険施設や障害福祉施設に入所、入居されている方や長期入院されており、退院の目途がたっていない方は、各施設での支援となることから対象外となります。
名簿掲載への同意について
新しく避難行動要支援者(1から8まで)に該当すると思われる方を把握したときは、避難時の支援の要否と併せて名簿掲載(避難支援等関係者に対しての情報提供)の同意の依頼について文書にお知らせしております。確認依頼の文書が届いた場合は、ご回答をお願いします。
名簿の提供状況
避難支援等関係者への名簿提供は、毎年1月から2月ごろに実施しています。
令和4年時点の提供先としては、南国警察署、社会福祉協議会(民生児童委員へは、災害発生時に必要に応じて提供)及び配布を希望している自主防災組織(178組織中68組織)となっています。
名簿への掲載を希望される方へ
次の要件に該当する方は、避難行動要支援者として名簿へ登録のうえ、個別避難計画を作成いたしますので、条件に該当する方がありましたら、福祉事務所社会福祉班までご相談ください。ご本人だけでなく、支援者からの相談でも構いません。
- 避難行動要支援者としての条件1から8には該当しないが、災害時の避難又は避難所生活において何らの支援が必要な方
- 避難行動要支援者としての条件1から8に該当しており、実際に香美市内で生活しているが、住民票上の住所地が香美市外の方
- 介護保険施設や障害福祉施設を退所、退居して、在宅生活を始められた方
- 過去に名簿に掲載されていたが、長期入院を理由に名簿からの削除するよう連絡を頂いた方が退院した場合
避難行動要支援者の個人情報提供に関する同意書
名簿への掲載にあたっては、個人情報提供に関する同意が必要となりますので、次の様式に必要事項を記入したうえで、福祉事務所社会福祉班へご提出ください。
(一般用)避難行動要支援者の個人情報提供に関する同意書 [PDFファイル/109KB]
(児童用)避難行動要支援者の個人情報提供に関する同意書 [PDFファイル/107KB]
個別避難計画
市町村は、法第49条の14にて避難行動要支援者名簿に登録されている者に対しての避難支援等を実施するための計画として、個別避難計画を作成することが努力義務とされています。
香美市では、本計画の作成を自主防災組織と協力して進めております。未だ個別避難計画が作成されていない方で計画を作成されたい方や計画作成当時と状況が変わったため、計画の見直しが必要な方がありましたら、福祉事務所社会福祉班までご連絡ください。
ご自身や支援者で計画作成が可能な場合は、計画書の様式をダウンロードして、作成した計画を福祉事務所社会福祉班へご提出願います。避難時の支援を依頼できる親類や近隣住民がいらっしゃらない場合は、福祉事務所社会福祉班までご相談ください。
令和3年度からは、次の条件に該当する避難行動要支援者を優先計画作成者として位置づけ、名簿掲載に同意をいただけた方については、個別に訪問のうえ個別避難計画を作成しております。
- 浸水想定区域、土砂災害計画区域及び地震火災における重点推進地区に住まわれている避難行動要支援者
浸水想定区域、土砂災害計画区域は、高知県防災マップにてご確認ください。
地震火災における重点推進地区は、香美市地震火災対策計画にてご確認ください。 - 視覚障害者である避難行動要支援者
- 下肢に障害のある方などの歩行困難者である避難行動要支援者
- 孤立が発生しやすい地域に住んでいる避難行動要支援者
現在、該当する地域として物部町吹越地区、笹地区、和久保地区を設定しています。
様式
香美市では、避難所等への避難にあたり支援が必要である方とそうでない方に分けて、個別避難計画を作成しています。
個別避難計画(その1)
避難にあたって支援が必要な方用の個別避難計画書の様式です。
個別避難計画(その2)
避難所等までの避難にあたっては支援が必要ないものの、長期の避難所生活において支援を必要とされる方の個別避難計画書の様式です。
地震や風水害の発生時は平時と異なり、道路状況が悪くなったり、地震の揺れで家具等が転倒し、容易に自宅から出ることができなくなることも想定されます。こうした点を考慮した場合に避難に支援が必要と思われる場合は、避難にあたって支援が必要な方用の個別避難計画書を作成してください。
個別避難計画の記載例
個別避難計画の記載例です。
災害時個別支援計画
在宅酸素療法や人工呼吸療法による治療を在宅で受けている方については、高知県の南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアルに基づく災害時個別支援計画の作成も併せて必要となります。